【旋 律】後編 第十一章

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. ――――…… 早朝出発した亜美のバタバタとした足音で目を覚ました円香は、そのまま起き出して温室に行き、ゆったりとした気持ちで植物に水を与えていた。 薄暗かった空が徐々に明るくなっていく。 やがて朝日が眩しく差し込む中、温室の植物ひとつひとつ眺め手入れをしながら、柔らかな笑みを浮かべていると、 「亜美は朝早くに出たみたいだね」 と楓の声がし、 「あ、おはよう、楓くん」 円香は笑みを見せた。 「おはよう、円香」 そう言って優しく肩に手を乗せてこめかみに軽くキスをした楓に、円香はウフフと微笑んだ。 「慌ただしく出て行った物音ですっかり目が覚めちゃって。 楓くんも早起きね。今日はお仕事?」 「今日は行かないつもりなんだ。 ――円香さんの本日のご予定は?」 胸に手を当てながら丁寧に尋ねた楓に、円香は小さく笑った。 「そうね、もうそろそろ、石鹸が完成するし香水もたくさん作ったから、その容器やラッピングする物を買いに行きたいなぁって思ってて」
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