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――――……
早朝出発した亜美のバタバタとした足音で目を覚ました円香は、そのまま起き出して温室に行き、ゆったりとした気持ちで植物に水を与えていた。
薄暗かった空が徐々に明るくなっていく。
やがて朝日が眩しく差し込む中、温室の植物ひとつひとつ眺め手入れをしながら、柔らかな笑みを浮かべていると、
「亜美は朝早くに出たみたいだね」
と楓の声がし、
「あ、おはよう、楓くん」
円香は笑みを見せた。
「おはよう、円香」
そう言って優しく肩に手を乗せてこめかみに軽くキスをした楓に、円香はウフフと微笑んだ。
「慌ただしく出て行った物音ですっかり目が覚めちゃって。
楓くんも早起きね。今日はお仕事?」
「今日は行かないつもりなんだ。
――円香さんの本日のご予定は?」
胸に手を当てながら丁寧に尋ねた楓に、円香は小さく笑った。
「そうね、もうそろそろ、石鹸が完成するし香水もたくさん作ったから、その容器やラッピングする物を買いに行きたいなぁって思ってて」
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