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亜美はひょっこりとリビングに顔を出し、ソファーで談笑する円香と楓の前に歩み寄り、
「……あのね、お父さん、ママ」
と緊張を隠すように笑みを見せた。
そんなかしこまった様子の亜美に、円香と楓はポカンとしつつ、
「どうかした?」
と視線を合わせると、亜美は思わず目をそらしながら、
「――突然だけど、明日から一泊二日で美樹たちと近場に旅行に行くことになったの。
……いいよね?」
と少し早口でそう告げた。
亜美はそう告げながら自分の頬が紅潮してないか気になって仕方がなかった。
……別に正直に薫と旅行に行くと言っても、差し支えないのだろうけど、
『もう大人なんだから、俺たちのことに兄貴や円香さんを巻き込むのやめようぜ』
と言った薫の言葉も最もだと思ったし、嘘をつくことに罪悪感を感じたけど二人だけの秘密を作るみたいで、ドキドキした。
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