【旋 律】後編 第十一章

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. ――――…… 早朝に出発した亜美と薫の二人は渓流に立ち寄り、釣りの準備を始めていた。 「私、実は釣りって初めてなの。薫はよく釣りするの?」 手渡された釣竿を眺めながら、物珍しそうにそう言った亜美に、 「最近は、あまりしてなかったけど、子供の頃はよく親父に連れられて、兄貴と3人で釣りに行ったよ」 そう言いながら薫は釣竿をセットした。 「さて、この辺はいわなが釣れるんだ。釣れたら焼いて食ったら美味いんだぜ」 「薫、調理できるの?」 「ああ、テキトーだけどな。亜美は?」 「やったことない」 「っていうか、円香さんは、料理すげぇ上手いけど、亜美は料理とかすんの?」 「一応はするんだけど、今、修行中」 バツが悪そうに肩をすぼめた亜美に、薫はアハハと笑った。      
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