【旋 律】後編 第十一章

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. ――――…… 佐伯裕子は自宅のワンルームマンションで悶々としながら、ベッドの上で膝を抱えて座っていた。 『じゃ、抱いてやろうか』 とサラリと告げた布施の言葉が、脳裏にこびりついていて、ブンブンとかぶりを振った。 ―――布施くん、か。 中学の頃の布施君は一言で言うなら『学年で一番目立つ男の子』で、 私はそんな彼を遠巻きに見ている目立たない女の子の一人だった。 『じゃ、抱いてやろうか』 再び、その言葉が浮かび、ギュッと拳を握った。 なんて……なんて、信じられない奴。 思えば昔からそうだった。 信じられないくらいの自信家! チャラチャラしているのに成績は常にトップで、お父さんが代議士で家は大金持ち。 外見だって悪くなくて、いつも周りに女の子がいた。  
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