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――――……
佐伯裕子は自宅のワンルームマンションで悶々としながら、ベッドの上で膝を抱えて座っていた。
『じゃ、抱いてやろうか』
とサラリと告げた布施の言葉が、脳裏にこびりついていて、ブンブンとかぶりを振った。
―――布施くん、か。
中学の頃の布施君は一言で言うなら『学年で一番目立つ男の子』で、
私はそんな彼を遠巻きに見ている目立たない女の子の一人だった。
『じゃ、抱いてやろうか』
再び、その言葉が浮かび、ギュッと拳を握った。
なんて……なんて、信じられない奴。
思えば昔からそうだった。
信じられないくらいの自信家!
チャラチャラしているのに成績は常にトップで、お父さんが代議士で家は大金持ち。
外見だって悪くなくて、いつも周りに女の子がいた。
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