1408人が本棚に入れています
本棚に追加
そっと顔を上げ、鏡を見た。
長めの黒髪が重たく頭の上に乗っていた。
確かに冴えない男日照り全開の女だ。
それでも誰でもいいからとにかく経験だけはしよう、なんて思えなかった。
ちゃんと好きな人と、って思っていた。
でも、こんな展開を求めていたわけじゃない。
また息をついて、苦しさを誤魔化すようにクッションに顔を押し付けた。
『全く、お前は頑固で頑なで、変化や男に臆病で……』
そう言った布施の言葉を思い出し、顔を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!