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――もう、32歳になってしまった。
まともに恋愛もしないまま。
仕事とその人間関係に追われて、恋愛には常に臆病なまま……。
自分に自信がないまま。
そんな中、布施君に再会して、世界が明るくなった気がした。
中学の時には話もできなかったような別世界の存在。
そんな彼と対等に話し、友達のように接してくれることが嬉しかった。
ズバズバ言いながらも、ちゃんと優しくしてくれて嬉しかった。
『その髪をスタイリッシュにカットして、もっと爽やかな格好で来いよ』
ただ、からかわれているだけなんだろうか?
人を茶化したり、からかったりが、趣味なような男。
やっぱり、からかっただけなのかな?
『からかいだって分かってたけど、来てやったわよ』
そう言ってヤツの高級マンションを覗いてこようかな?
そこまで思い、裕子は自分に言い訳ができたように、そっと顔を上げた。
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