【旋 律】後編 第十一章

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  円香と楓は一瞬視線を合わせたあと、笑みを見せた。 「もちろん、いいわよ。どこに行くの?」 「か、軽井沢」 「お小遣いは大丈夫?」 「うん、ちゃんとあるよ」 亜美はそれだけ言い、そそくさと自分の部屋に入って行った。 亜美がリビングから出て行った後、円香と楓は改めて顔を見合わせ、クスリと笑った。 「――短大の時、私もああやって親に嘘ついたことがあるの。 ……今思えばお母さん、黙認しててくれたのかな」 円香はそう言って目を細めた。 「何もかも包み隠さずに打ち明けられるのも戸惑うけど、ああして秘密を作られるのも、親としては寂しいものだね」 寂しげな表情を浮かべた楓に、 「お父さんも複雑ね」 と円香はクスクス笑った。
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