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円香と楓は一瞬視線を合わせたあと、笑みを見せた。
「もちろん、いいわよ。どこに行くの?」
「か、軽井沢」
「お小遣いは大丈夫?」
「うん、ちゃんとあるよ」
亜美はそれだけ言い、そそくさと自分の部屋に入って行った。
亜美がリビングから出て行った後、円香と楓は改めて顔を見合わせ、クスリと笑った。
「――短大の時、私もああやって親に嘘ついたことがあるの。
……今思えばお母さん、黙認しててくれたのかな」
円香はそう言って目を細めた。
「何もかも包み隠さずに打ち明けられるのも戸惑うけど、ああして秘密を作られるのも、親としては寂しいものだね」
寂しげな表情を浮かべた楓に、
「お父さんも複雑ね」
と円香はクスクス笑った。
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