1408人が本棚に入れています
本棚に追加
.
――――……
亜美と薫はガックリと肩を落としながら、声もなく無言で車に乗り込んだ。
助手席のシートに腰を下ろすなり、
「――結局、何も釣れなかったね」
と息をつきながら、そう漏らした亜美に、薫はプッと笑った。
「亜美は釣っただろ、長靴。大物だって大騒ぎしながら」
「もう、それ言わないでよ!」
亜美は頬を赤らめながら、アハハと笑った。
「こういうのってボウズって言うんだぜ」
「そうなんだ。
釣りに行って、ボウズだった時の脱力感ったらないわね」
「まっ、こういうこともありだ。今度はテニスしようぜ、スカッと!」
そう言って車を発進させた薫に、亜美は「わあ」と声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!