【旋 律】後編 第十一章

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. ――――…… 布施は表参道のカフェで、雑誌社のスタッフ・佐伯裕子(ユウコ)と打合せをしていた。 髪をきっちりまとめ眼鏡をかけ、堅いスーツに身を包んだ編集者・佐伯裕子は布施のコラムに目を通し、満足げに頷いた。 「素晴らしいです、先生」 「そうですか?」 「ええ、先生の『恋愛心理学』のコラム、かなりの反響なんですよ。 こちらとしては、連載をお願いしたいくらいです」 連載につなげたいと身を乗り出す裕子に、布施はニコリと笑みを返した。 「それは光栄ですが、ちょっと難しいですね」 「それは、残念です。 今回もこの『恋愛感情は錯覚から起こりやすい』って内容も、とても興味深いです。 今回も反響がありそう」 「それは良かったです」 布施はそう言ってまた笑顔を見せた。
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