【旋 律】後編 第十二章

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. ――――…… 裕子は緊張に顔を強張らせながらヘアサロンに足を踏み入れ、ドギマギしながら受け付けカウンターに向かった。 「あ、あの……予約していないんですけど、大丈夫ですか?指名とかはないんですが」 そう尋ねるとスタッフはPCを確認し、 「あ、今すぐでしたら大丈夫ですよ。 今日はどうなさいますか?」 「カットでお願いします」 裕子は少し赤面しながらそう言って俯いた。 ―――あいつの言うとおりするのはしゃくだけど、この重い頭を後生大事にしても仕方がない。 「どうぞこちらへ」 スタッフに促され椅子に座りるなり、 「あの……似合うようにバッサリ切って下さい」 と意を決したようにそう声を上げた。 「はい、それではスタイリッシュな感じにさせて頂きますね」 と笑顔で頷いた。  
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