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「勿論、大きなことを始めるのに、知識や資格だけが全てじゃないのは分かってる。
でも大きなことを始めるのに知識と資格を持って、土台がしっかりしていることに越したことはないと思うんだ。
それで俺、留学しようと思うんだ」
「留学?」
「アメリカに仲が良かった大学の先輩が留学していて、その人にもずっと相談してたんだ。
俺、アメリカに行って『経営学修士号』を取得したいと思ってる」
そう言って真っ直ぐな瞳を見せた薫に、
「MBAのことね……」
と亜美は戸惑いながら呟いた。
弁護士に並ぶ、最高レベルのビジネス資格。
それで、最近の薫の様子がおかしかったんだ。
亜美は、ふぅ、と息をつき、薫を見た。
「来年から?」
「ああ、1月開講に向けて動きたいと思ってる」
「どこの大学に行くつもりなの?」
「ペンシルバニア大学」
先のことを既に決めている薫の言葉に、亜美は席を立ち「そっかぁ」と天を仰いだ。
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