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前の旦那の浮気がチラついていて悩んで苦しんでいた頃、
唯一、私を支えてくれたのは17歳の楓くんだった。
このベンチに二人で腰をかけ、バッグから缶コーヒーを取り出し『飲みませんか?』と差し出してくれた楓くん。
胸を貸すわけには、いかない気がするので僕の背中でよければ、そう言って広い背中で泣かせてくれた。
愛しくて切なくて、
―――思い出すたびに、目眩がしていた。
甘苦しい、想い出。
やがて公園に姿を現したスマートな楓の姿に少し眩しさを感じ、円香はそっと目を細めた。
楓くん。
あなたはあの頃と変わらず……あの頃よりずっと素敵な大人になった。
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