1338人が本棚に入れています
本棚に追加
「まだ、あるよ。
今度は一緒にしようか。どっちが長く持つか、競おうよ」
「いいわね」
楓は線香花火を二つ取り出し、火をつけた。
互いに並んで線香花火の火を見詰め、
「これって、傍から見たら凄く暗い二人に見えそう」
「声掛けられないかもしれないね」
そう言って笑い合っていると、強い風が吹き同時に火が落ち、またクスクス笑い合った。
円香はそっと隣に座る楓の横顔を見詰め、
「楓くんの横顔って、とても綺麗よね」
とシミジミ漏らした。
「えっ?」
「整っているからなんだろうな。横顔の綺麗な人って、なかなかいないわよね」
「じゃあ、正面から見た顔は間抜け?」
その言葉に円香は思わず笑い、
「どこから見ても、楓くんは素敵だわ。今も昔も」
円香はそう言って線香花火を取り出し、火をつけた。
パチパチと小さな火花を散らす線香花火を見詰め、少し苦しそうに目を細めた。
最初のコメントを投稿しよう!