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「円香……どうかした?」
「あ、うん。
……私の知人でね、43歳で出産した人がいるの」
そう告げた円香に、楓は、へぇ、と頷いた。
「それで私も……もしかしたら、まだ出産できるのかもしれないと思って病院に行って診てもらったのよ。
そしたら子宮が収縮していて、子供は望めないでしょうって言われちゃったわ」
円香はそう言ってやりきれない様子で目を細めた。
「楓くん……ごめんなさいね。
あなたの血を残したいって思ったんだけど、やっぱり私には無理みたい。
あなたみたいな優秀な人の血を残せないなんて、私、自分が情けないわ……」
グッと苦しくそう告げた円香に、楓は何も言わず、沈痛な面持ちを見せ、
しばしの沈黙が訪れた。
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