【旋 律】後編 第十四章

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  「広瀬、そこ座ってくれよ」 そう言って向かいの席を指した布施に、楓は小さく頷いて腰を下ろし、 「こんにちは、はじめまして、広瀬楓です」 裕子に視線を合わせて柔らかな笑みを浮かべた。 「あっ、はじめまして、佐伯裕子です」 声を掛けられてようやく我に返りペコリと頭を下げながら、 至近距離で見るとますます素敵で緊張しちゃう。 見たところ二十代後半って感じだけど、布施君とどういう関係なんだろう? そう思っていると、 「友人の広瀬楓。 元々高校時代の同級生なんだ。今は彼は一大法学部の講師をしている」 と紹介した布施の言葉に裕子は「えっ?」と目を開いた。    
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