【旋 律】後編 第十四章

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  「それじゃあ広瀬さんは私たちと同級生?若く見えますね」 「そうですか? よく年寄りくさいって言われますよ」 そう言って笑みを見せた楓に、布施はクックと笑った。 「いや、お前は見た目じゃなくて、中身が年寄りなんだよ」 「そうだな。昔から若年寄りって言われてるし」 そう言って笑い合う二人の姿を眺めながら、 本当に仲が良さそう、 と微笑ましい気持ちでいると、布施はポンッと裕子の肩に手を乗せた。 「広瀬、彼女は俺の中学の頃の同級生なんだ。雑誌の仕事を通して再会して一緒に仕事をしている。 そして今度彼女と結婚することになった」 そう告げた布施に、楓は一瞬驚いたように目を見開いたあと、ニコリと微笑んだ。 「そうか、それは良かったな。おめでとう」 その時、ケーキを用意して姿を現した円香が「わあ」と声を上げた。 「そうだったんですか。 布施さん、裕子さん、おめでとうございます」  
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