【旋 律】後編 第十四章

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  「ありがとうございます」 と飛び切りの笑顔を返す布施の横で、 ひーっ、昨日今日で決まった結婚なのになんだか変な感じ! と裕子は赤面し身を小さくさせていた。 「さすがの広瀬クンも驚いたか?」 そう言ってニッと笑った布施に、楓は「ああ」と肩をすぼめた。 「最近お前には驚かされてばかりだ」 「そうだな、悪ぃ」 と言って布施は愉快そうにアハハと笑った。 円香は嬉しそうにテーブルに紅茶とシフォンケーキを並べ、 「それで式はいつなんですか?」 と裕子の顔を覗き込んだ。 「へっ?し、式ですか?」 「まだ結婚を決めただけで、何も決まってないんですよ。親への挨拶もこれからだし」 仰天し声を裏返す裕子の横で、布施は余裕の表情を見せていた。  
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