【旋 律】後編 第十四章

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  15の頃、生まれてはじめて敵わない奴に出会って、 そいつが素直に尊敬できる奴で、激しい憧れを抱いていた。 それが恋愛感情だったのか、どうか分からない。 ただ、好きで慕っていた。 でも色んなことが整理できた今思えば、それは本当に強い強い『憧れ』だったのかもしれない。 広瀬に告白して抱いたものが解放されて、抱き締められて、胸の内に残る何かが冷静になれた気がした。 あいつはそれを教えてくれたんだろうか。 布施はそんなことを思い、温室で楽しそうにしている楓のシルエットに目を向け、まったく、とことん敵わない、と苦笑した。  
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