【旋 律】後編 第十四章

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  「―――そうなんですか、広瀬さんと布施君は、高校時代三年間ずっと同じクラスだったですね」 「ええ」 温室に訪れた楓に、裕子は高校時代の話を尋ねていた。 「広瀬さんと布施君が同じクラスだなんて、きっと目立ってそうですよね」 楽しげにそう言った裕子に、 「裕子さん、敬語はやめようか。同い年なんだし」 と楓はニコリと笑みを見せた。 「えっ?あ、はい……うん」 裕子は動揺しつつ、コクリと頷いた。 なんていうか、広瀬さんって見た目は若いけど、雰囲気はうんと年上みたい。 すごく落ち着いてる。 「それで高校の時の布施君って、どんな感じだったの?」 裕子は楓に敬語を使わずに話すことに違和感を覚えながらもそう尋ねた。
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