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「さっきから呆けたような顔してなんだよ?」
その言葉に自分がポカンと口を開けていたことに気付き、慌てて顔を正した。
「だって職場に就いて、いつも通り仕事をしていたら、昨夜のことが夢だったような気がしていたところなの。
……夢じゃなかったのよね」
こう言いながら、今この場にいることも、どこか現実感がなくて……。
「まあな、32年間男っ気なしで、いきなり経験して、すぐさま結婚へ、なんてことになったら、混乱するよな」
楽しげクックと笑った布施に、
「他人事みたいに……」
と裕子は息をつきながらも、その言葉でようやく現実味を帯びてきたように感じた。
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