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「ここまで強引に持ち込んだけど、ここからは正攻法で行かせてもらうよ」
そう告げた布施に、裕子は「正攻法?」と目を開いた。
布施は「ああ」とポケットから指輪の入った箱を取り出し、裕子の前にスッと差し出した。
「―――えっ?」
「改めて……佐伯裕子さん、俺と結婚して下さい」
笑みを湛えながらそう告げた布施に、
「指輪なんて、いつ買ったの?」
と声を裏返した。
「今日の午前中だよ」
やっぱり、凄い行動力!
裕子は驚きを隠せないまま、呆然と指輪を見詰めた。
シンプルなデザインにダイヤが光っていた。
「返事は?」
「……はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
胸が詰まって、涙が溢れ出て、最後は声にならなかった。
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