【旋 律】後編 第十四章

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  「ここまで強引に持ち込んだけど、ここからは正攻法で行かせてもらうよ」 そう告げた布施に、裕子は「正攻法?」と目を開いた。 布施は「ああ」とポケットから指輪の入った箱を取り出し、裕子の前にスッと差し出した。 「―――えっ?」 「改めて……佐伯裕子さん、俺と結婚して下さい」 笑みを湛えながらそう告げた布施に、 「指輪なんて、いつ買ったの?」 と声を裏返した。 「今日の午前中だよ」 やっぱり、凄い行動力! 裕子は驚きを隠せないまま、呆然と指輪を見詰めた。 シンプルなデザインにダイヤが光っていた。 「返事は?」 「……はい、こちらこそ、よろしくお願いします」 胸が詰まって、涙が溢れ出て、最後は声にならなかった。  
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