【旋 律】後編 第十四章

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  裕子は『意外』と目を開いた。 「それじゃあ結婚後も出産後も私が望めば仕事を続けていいの? 子供のことは? 仕事を続けるからには育児で俺の手を煩わせるな、なんて言ったりする?」 早口でそう尋ねた裕子に、布施は露骨に顔をしかめた。 「子供のことはお互いサポートしていけばいいだけだろ?」 うそ、本当に意外! 「それじゃあ私に『こうしろ』ってことはないの?」 裕子は思わず身を乗り出した。 「そうだな、仕事で忙しい時は仕方がないとして、なるべく一緒に食事を摂って、なるべく同じ時にベッドに入ろう。 なるべく一緒にいようぜ」 布施はそう言って笑顔を見せた。 布施君……。 「お前の言うとおり俺は寂しがり屋なんだ。寂しがらせないで欲しい」 そう告げた布施に、裕子は目に涙を浮かべた。  
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