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裕子は『意外』と目を開いた。
「それじゃあ結婚後も出産後も私が望めば仕事を続けていいの?
子供のことは?
仕事を続けるからには育児で俺の手を煩わせるな、なんて言ったりする?」
早口でそう尋ねた裕子に、布施は露骨に顔をしかめた。
「子供のことはお互いサポートしていけばいいだけだろ?」
うそ、本当に意外!
「それじゃあ私に『こうしろ』ってことはないの?」
裕子は思わず身を乗り出した。
「そうだな、仕事で忙しい時は仕方がないとして、なるべく一緒に食事を摂って、なるべく同じ時にベッドに入ろう。
なるべく一緒にいようぜ」
布施はそう言って笑顔を見せた。
布施君……。
「お前の言うとおり俺は寂しがり屋なんだ。寂しがらせないで欲しい」
そう告げた布施に、裕子は目に涙を浮かべた。
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