【旋 律】後編 第十四章

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  運転席に座る布施をチラリと横目で見た。 骨ばった堅そうな大きな手で黒いハンドルを握る姿は、大人の色気を感じさせた。 ……そもそも、この布施君がどうしていきなり『結婚』を考え出したんだろう? 今もこの先も独身を貫いて、自由気まま好き勝手に楽しんで生きて行きそうな感じがしていたのに……。 そんなことを考えながら、先日布施が『失恋した』と言っていたことをふと思い出した。 そういえば失恋したと言って爽やかな顔を見せていた。 あれはいつもの冗談かと思っていたけど、もしかしたら今回のことと何か関係があるのかもしれない。
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