【旋 律】後編 第十四章

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  誰なんだろう? 若々しくて上品そうな可愛らしい人。 小柄だけど、背筋がスッとしていて、凛としている。 歳はいくつなんだろう? パッと見は三十代半ばから後半にも見えるけど、雰囲気はとても落ち着いている。 年齢不詳だわ。 裕子がそんなことを思っていると、 「こんにちは、はじめまして、広瀬円香です」 そう言って柔らかく微笑んだ円香に、 「はじめまして、佐伯裕子です」 円香の笑顔にホッとすることを感じながら、裕子も頭を下げた。 「広瀬はいますか?」 そう尋ねた布施に、 「今、温室にいるのよ。すぐ戻ってくると思うわ。どうぞ、座ってください」 その言葉に、布施は「ええ」と頷き、ショップのソファーに裕子と並んで腰を掛け、円香はリビングの窓から温室へと入って行った。  
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