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「そしてね、薫がお父さんに抱き着いたとき少しヤキモチやいちゃった」
そう言ってイタズラな笑みを浮かべ亜美に、楓はクスリと笑った。
「ごめんごめん、人様の彼氏を抱き締めちゃったね」
「ううん、そうじゃなくて。
薫にお父さんを盗られたような錯覚に襲われて、なんだか変な気分だったの」
「僕も君の父親でありながら君の彼氏の兄貴でもあるから、すごく奇妙な気分だったよ」
そう言って肩をすぼめた楓に、
「そうだよね、複雑だよね」
亜美はプッと笑った。
「だけど薫も亜美も僕にとってかけがえのない存在だから、そんな2人が惹かれ合っているなんて、そんな素敵な偶然に感謝しているよ」
そう言って笑みを見せた楓に、亜美は照れたように笑った。
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