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「それより布施、お前の方は?結婚に向けて話は進んでるのか?」
布施は、ああ、と頷き、
「双方の両親への挨拶も済ませたし後は結納して式は来年だな。
でも、もう一緒に暮らしてるんだ」
サラリとそう言って笑みを見せた。
「それじゃあ新居はそのまま今のお前のマンションになるのか?」
「とりあえずな。
裕子も快適だって言ってるし」
幸せそうな布施の姿に、楓は柔らかく目を細めた。
「すっかり落ち着いた顔になったな」
「お陰様で。
我ながら変わったなと自分でも思ってるよ」
「そうだな。
……薫もきっと驚くほど変わって帰って来るんだろうな」
そう言って遠い目を見せた楓に、布施も小さく頷いた。
「亜美ちゃんは大丈夫かね?あの子はそういう面では意外に弱い子だろ?」
「ああ、それが心配だよ」
楓は窓の外を眺めながら、そっと息をついた。
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