【旋 律】後編 第十五章

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  叩かれて赤くなった頬を手で抑えながらも、嬉しさに顔を緩ませている裕子に、 「佐伯先輩、なんだか余裕の表情じゃないですか?」 と遠巻きに様子を見ていた皆は困惑の表情を浮かべていた。 「もう、本当にサイテー!サイテーの男だわ!」 そう言って泣きながら床を叩きつける彼女に、裕子はしゃがみこんでスッとハンカチを差し出した。 「うん、私もサイテーの男だと思ってる」 正確には、思ってた、だけど。 職場に半狂乱で奇襲をかけた自分に、どこまでも平静な裕子の様子に彼女は悔しそうに顔を歪ませて、 「ブス!」 と言い放って逃げるようにオフィスを出て行った。  
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