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叩かれて赤くなった頬を手で抑えながらも、嬉しさに顔を緩ませている裕子に、
「佐伯先輩、なんだか余裕の表情じゃないですか?」
と遠巻きに様子を見ていた皆は困惑の表情を浮かべていた。
「もう、本当にサイテー!サイテーの男だわ!」
そう言って泣きながら床を叩きつける彼女に、裕子はしゃがみこんでスッとハンカチを差し出した。
「うん、私もサイテーの男だと思ってる」
正確には、思ってた、だけど。
職場に半狂乱で奇襲をかけた自分に、どこまでも平静な裕子の様子に彼女は悔しそうに顔を歪ませて、
「ブス!」
と言い放って逃げるようにオフィスを出て行った。
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