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「やっぱりモテる男とやっていくには、どんなことが起こってもドンと構えていることが大事なのかも」
「私も彼がちょっと他の女の子の話をするだけでキレるのをやめるようにするわ」
「しかし佐伯さん、大人だったよね~」
その日は一日、そんなヒソヒソ話があちこちに飛び交い、誤解なだけに居心地が悪く、裕子は逃げるように定時にオフィスを出た。
ビルの外に出るなり『はぁあ』と脱力の息をついた。
今日は本当に針のムシロだったわ。
そう思っているとビルの前に停車していた黒い車から布施が颯爽と降りて来た。
「―――布施君?どうしたの?」
今まで車の存在に気付いていなかった裕子は弾くように顔を上げた。
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