【旋 律】後編 最終章

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  「家内がお世話になっています」 そう言ってニッコリ笑った楓の姿に、美佳は「はあ」と漏らし、 「あ、いえ、私はお世話なんて」 と首を振ったあと、「信じられない」と混乱したように頭を抑えた後、クスクスと笑い出した。 「美佳ちゃん、どうかした?」 突然肩を震わせて笑う美佳に小首を傾げると、 「ううん、ごめんなさい。 さすが円香さんだなぁって。 やっぱりあなたはいつまでも私の憧れです」 と嬉しそうな笑顔を見せた。 「憧れ?」 「あの頃は認めたくなかったんですが、私は本当はあなたに憧れてたんです。 でも、あなたみたいになれなくて悔しかったのもあって。 いつも『羨ましい』と思わせられる対象だったんですよ。 それが今もそうで。 でも、これからは『羨ましい』じゃなくて、『目標』にしたいと思ってます。 私も円香さんみたいにいつか素敵な人を捕まえたいです」 そう言って晴れやかな笑みを見せた美佳はとても美しく、 「うん、きっと今の美佳ちゃんなら、すごく素敵な人が現れると思う」 と心からそう告げた。    
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