【旋 律】後編 最終章

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  「布施が父親か。 ……なんだか感慨深いな」 シミジミとそう呟いた楓に、 「そういう広瀬は『みんなのお父さん』だよな」 と言った布施の言葉に、まさしくその通り、と皆は声を揃えて笑った。 その後もツリーを囲みながら楽しく談笑し、もうすぐ旅立つ薫に目を向けた。 「いよいよね、薫君の出発」 そう言った円香に、薫は小さく頷いた。 「で、薫君はいつ発つんだ?」 そう尋ねた布施に、 「実は、明後日なんです」 薫はためらいがちに前髪をクシャッとかき上げた。   「明後日とは聞いてなかったな」 驚いたように視線を合わせた楓に、薫はそっと目を伏せた。 「ごめん。なんだか言い出しにくくて、亜美と親にしか伝えてなかった。 そして誰の見送りも受けずに行こうと思ってて」 「誰の見送りもって……亜美の見送りも?」 「うん」  
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