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「布施が父親か。
……なんだか感慨深いな」
シミジミとそう呟いた楓に、
「そういう広瀬は『みんなのお父さん』だよな」
と言った布施の言葉に、まさしくその通り、と皆は声を揃えて笑った。
その後もツリーを囲みながら楽しく談笑し、もうすぐ旅立つ薫に目を向けた。
「いよいよね、薫君の出発」
そう言った円香に、薫は小さく頷いた。
「で、薫君はいつ発つんだ?」
そう尋ねた布施に、
「実は、明後日なんです」
薫はためらいがちに前髪をクシャッとかき上げた。
「明後日とは聞いてなかったな」
驚いたように視線を合わせた楓に、薫はそっと目を伏せた。
「ごめん。なんだか言い出しにくくて、亜美と親にしか伝えてなかった。
そして誰の見送りも受けずに行こうと思ってて」
「誰の見送りもって……亜美の見送りも?」
「うん」
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