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「そっちに乗り換えられた感じ?
お前、見た目通り男まさりじゃん、名前もマジで男みたいだし。
そんな男心に理解あるお前が一回くらいの浮気で切るように見えねー。」
「…それ褒めてんの。」
「もちろん!」
「どうも。浮気してるかもーってたまたま風の噂で耳に入ったから、会った時に好きな子できた?って聞いたら別れてくれってさ。あいつ謝りもしなかった。」
「…そっか。お前最近忙しかったしそれが若造には理解できなかったんだな。
良かったじゃん、早めに気づいて。時間の無駄にならず次に行けるな。」
そだね、と気のない返事をした私は新しくきたビールを注ぎ一人また飲み始めた。
「悲しい?」
少し意外な質問に碓氷の方を改めて見ると、そう言っている碓氷は困った顔をしていた。
「ぷっ。何その顔初めて見た。」
「おまえなー、人がたまに心配してみるとそれだよ。」
「ごめんて。でもね寂しいけど、不思議と辛くは無いんだよねぇ。私って淡白な女なのかも。」
「そっか。まあならよかったよ。辛さがないなら立ち直るの早いだろうし、別れた後ってモテるらしいぜ?」
ニヤリと碓氷が笑う。
「よっしゃぁーーーーコイ!モテキ!!」
ぽかんとした顔でこちらを見る碓氷が次に爆笑し始めた。
そんなこんなでお腹いっぱい飲んで食べたのに、時計は10時を回ったくらいで、やっぱり早くから飲むって幸せと改めて思う。
私たちは、飲み足りなさが残りつつ店を出た。
2人とも会社近くにある独身者用の社宅に住んでいたため、私たちは何も言わずに同じ方向に歩き出した。
はぁぁぁぁあ、こんな夜は人肌が恋しいぜ☆…とか心では呟いてみるが本当に求めているのは、後少し足りないアルコールだった。
私は帰路途中にあるリカーショップが見えてきたところで、家で飲み直すお酒を買って帰ることを決意し、その旨を碓氷に伝えた。
「え?二軒目行かないの?」
当然のように言ってきた碓氷に対し、え?行くの?と私。
「あぁでもたまには家飲みするかー学生みてーに!」
碓氷はテンションが上がりつつ、私と宅飲みをすることを勝手に決めてリカーショップにも当然ついてきた。
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