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彼女の手にはまた、いつ出したのか分からない黒い花があった。
歌が始まって少しすると、死体となった魔物の元に花が向かい落ちていく。
魔物に花が触れた瞬間、光ったかと思うと、魔物の死体や灰となった魔物は白い花になり、黒かった花も白へと色を変えた。
その光景は幻想的で、息をのむ美しさに誰もが見惚れた。
彼女は歌い終わると、ギルドの者達に一礼すると消えた。
彼女が去った後、我に返った者達は驚いた。
全員の傷がなくなっていたからだ。
そこにいた者達は、口々に言う。
「彼女は、黒き天使の歌姫だ。」… と。
その名は翌日には、全世界の者達に知れ渡り、ギルド"純白の唄"に人が殺到した。
クラリタ帝国の皇帝も彼女の正体を知る為に、ギルド"純白の唄"のギルドマスターを城に呼び、聞いた。
その答えはまたしても知れ渡る。
「あいつの正体はあいつが言わない限り、死んでも言いません。ま、俺が死んだり、ギルドマスターで無くなれば一生、あいつの正体も分からず、あいつは姿を消しますけどね。」
その言葉に皇帝も諦めた。
黒蝶は、女であること以外になにも分からず、その強さはXランク程であろう以外分からない。
ギルドでも彼女を見ることは稀にしか出来ない。
それから約2年後...
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