一章

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私の慌てる声に編集長は椅子から立ち上がり、部屋の中からは小さく歓声があがった。 無理もない、編集長の提案から殆ど全員がサイトに目を通し…ハマったのだ。 「さて…問題はやっぱりアレだな」 一瞬喜んだ編集長は腕組みをして椅子にどすんと腰を落とした。周りを見渡せば他の編集者も頷いている。 「そうですよね…」 編集部での話題は、何故彼女が此れまで姿を現さなかったのか?だった。 谷女史もあれから随分と〈カオル〉の情報を集めていた。うちよりも大手の出版社からも彼女にオファーは掛かっていた。 けれども噂通りにアポイントへこぎつけて…すっぽかされていた。 『彼女って、余程見た目に自信がないとかですかね?』 『いや、もしかしてお婆ちゃんとか?あり得ますよね…』 もしも雑誌の連載を約束させても、ビジュアルは大切だ。その点だけでも彼女の価値は半分にも成りかねない。
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