金原 恭子

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 カーテンの間から差し込む光が、部屋を魅惑的に照らし出す。  少し開いた窓から、優しい風が入り、少し肌寒い… うたた寝をしていた恭子は、寝ぼけながら枕の横に置いてあった携帯の液晶画面を開く。 「うにゃ…もうこんな時間かぁ…」 時刻は22時を廻っており、自分が二時間も寝ていた事に気がついた。  ぼーっとしながら携帯を意味もなくいじりまわす。  しばらくすると、頭の中は起床モードに切り替わり、恭子は身体全体で大きく伸びた。  ベットから立ち上がると、おもむろに机の上にあるパソコンを起動させた。  パソコンの起動を表す青い光が、差し込む月の光と重なり、神秘的に見えた。 インターネットを立ち上げると、いつの間にか日常の日課となってしまった情報交換の掲示板のサイトを開く。 サイトを開くと『暇人達の酒場』と書かれた大きなロゴマークが姿を表した。  ここは色々な事を情報交換するサイトだった。  恭子は面白いことがないかと、いつもこのサイトに目を通していた。  最近このサイトでは、一つの噂で盛り上がっていた。  数年前に集団失踪事件があったのだが、その失踪事件があるサイトと関係していると言うことだった。  こんな子供じみた噂話で盛り上がることは、ストレス社会で生きる恭子にとっては、調度良い憂さ晴らしになっていた。  画面に目をやると、今日も恭子と同じような人達が色々と書き込みをしていた。 『一体どんなサイトなんだろうね?』 『俺なら試しに絶対やってみるね』 『実際めちゃ怖いよね』 『なんか数年に一回しか、そのサイト出てこないらしいよ?』 等と、あるかもわからない話で盛り上がる。  恭子はそんな話を、自分の頭の中で空想させて、自己満足な世界に入り込んでいた。
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