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じっと見ていたのにも関わらず、女子高校生は話に夢中で私の視線には一切気づいていなかった。
それでも私はじっと見ていた――ぶつけるなよと。
その願いもむなしく、傘は、よりによって私の両足の間に滑り込んだ。内側が滴でスーツは汚れてしまったのだ。
私は顔を思いっきり見上げ、睨んだ。睨んだ。眼光鋭く睨んだ。
でも女子高校生は気づかなかった。
非常に腹が立った私はどうにかして気づかせようと、持っていた傘を、両足から外そうと女子高校生の傘を叩いた。するとやっと気づき、申し訳なさそうな顔をして目の前から去った。
普段の私なら、これだけでもしてやったりと思ったものだ。
でもダメだった。ダメだった。苛立ちは余計に増すばかりで晴れることはなかった。
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