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――な、なんだこれは! ゆ、許せん!
脂が乗り、こってりとした鮪が山葵と共に口に広がる。もっと刺身を堪能したいのに、集中させない右側の親父が立ち上がった。
「おあいそ、お願い」
「はーい、お皿を数えますね……21枚ですね。お会計はレジの方で」
作業服を着た隣の親父は、楊枝をくわえながら、レジのほうへと歩いて行った。
――くそ、させて堪るか。あいつ、このまま逃げる気だな?
怒涛のような足踏みで、俺は寿司の皿を20枚掴み、レジへと追いかけた。
「あのう、これ忘れていますよ。貴方の分です」
レジカウンターへ放り投げ、踵を返し、自分の席へ戻った。レジに立つ女の子の驚く表情が、とても可愛かった。俺は非常に満足をした。
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