第6話

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「ありがとうお袋。朝方に、ちょっとしたミーティングがあるから急がないと。余りそうだったら、帰って来てから食べるよ」 秋雄は鏡の前で、黒髪をセットしながら微笑んだ。 「だったら余らないね。全部食う」 一言呟く。 俺が髪の毛を伸ばし格好つけても、女子の眼は無関心なのに、こいつが忽ち伸ばせば、もてはやされる。 秋雄がいるだけで俺は……惨めになり、卑屈になる。家でも外でも、それは変わらなかった。 「ははは。お前は本当に良く食べるなぁ~。いいよ、いいよ、全部食べな。 あーそうそう、前に話した件だけどさ、お前日曜は休みだろ?」 「前の件? なんのことだ? まぁ、休みだけど。お袋! コーラのペットボトルを取ってくれ」
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