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「ただいまぁ……」
首になったと家族には言い辛い。特に秋雄には、ばれたくはなかった。これ以上、引けを取られるのは勘弁だ。
仕方なく顔色が悪そうな仕草を、玄関前から演じてみる。
あまり突っ込まれたくはないので、おでこに手を当て、そさくさとリビングを小走りした。
「あれ、信ちゃんどうしたの? 今日は随分と早いのねぇ?」
「え、あー、ちょっと具合が悪くなってしまって早退したんだ」
「そうなの? 大変、熱でもあるの?」
テレビの前で煎餅を食べていたお袋は、慌てて血色を確かめた。
お願いだ。もう触れないでくれ。
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