第10話

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 酔いに任せて思い切って聞いてみる。 絵恋に、ガーネットのようなシャトーのワインを、急かすように継ぎ足した。 「信介さん、こんなに飲んだらダウンしちゃいます…… 親友で有沙という同級生がいるんですけど、お付き合いしている人が今はいないので、お勧めですわ。式の時に、ご紹介致しますね」 「ほ、本当に! 絵恋さん、君に出会えて良かった! 見た目もそうだけど、心も女神のようだね!」 ドサクサに紛れ、絵恋の両手を握り締めた。 「触るなコラ! 絵恋、嫌だったら、ちゃんと断らなきゃ駄目だぞ?」 「分かっています。嫌じゃないわ? 大丈夫」 「秋雄、余計な事を言うなよな……」 ――トルルルル…… ――トルルルル…… 言い掛けた途中に、ポケットの携帯が震える。突然の振動にピクリとなった。
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