第10話

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「お、お待たせしました」 いつも食事の時には、キッチン付近の椅子と背の高いテーブルで囲うんだが、客がいるということで、ソファーに長机で家族は女を迎え入れていた。 さっきは見えなかったが、親父はビールを飲み始め、兄貴と彼女は赤ワインを飲んでいた。世話しなく一人で動いてるのは、お袋だった。 「あ、信ちゃんは何飲む? お酒? それともコーラ?」 ――恥ずかしいじゃないか! ちゃん付けで呼ぶなボケェ! 「俺もワインで」 申し訳なさそうに、父親をどかし、秋雄と反対側の彼女の横に深々と腰を掛けた。 「はい、ワイングラス。珍しいわね?」 ――余計なお世話じゃ! あっちにいけババァ。 「なんだ? その髪型? くくくっ、いつもと違うじゃん信介」
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