第10話

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 ――下品なんだよ、親父は! これだから酔っ払いは、全く……。 テーブルを見ると、チーズや漬物、ちょっとしたお刺身くらいしかツマミは出ていなかった。 ――た、たりねーな? 「今足りないなと思ったでしょう? 信ちゃんの帰りを待っていたのよー? これからじゃんじゃん絵恋さんの為にもお料理を出していきますね」 お袋はビールを一口飲み、リビングからキッチンへと足早に戻った。 「お母様、わたくしもお手伝いしますわ! 秋雄さんのお部屋で、ちょっとお着替えをしても良いかしら?」 「ああ、かまわないよ。一緒に行こうか」 か細い白い指は、テーブルにワイングラスを置き、おしとやかに立ち上がった。 「信介さん、ちょっと前を失礼しますね」
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