第10話

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 彼女は白いワンピースが広がらないように両手でスカートを押さえ、俺の鼻先には、純白の絹がそっと触れた。 咄嗟に空気を思いっきり吸い込んだ。まるでマイナスイオンが発生したかのような、癒される小さな風だった。 ……いい匂い。こんな女の香りは久々だった。 振り返り、絵恋を目で追うと、秋雄に片手でエスコートされ、笑いながら階段を上がっていった。 「信ちゃん、まずは大根と豚の煮物よ。トロトロの角煮で美味しいわよ~! はい、後カラシ」 「ああ、お、美味しそうだ」 慌てて釘付けになっていた視線をテーブルに戻した。やはり、彼女を見ると胸がドキドキと波を打つ……これは? この気持ちは、まるで――
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