第12話

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 孔明は扇をピシャリとたたみ、趙雲を厳しく指した。強めのクーラーで白い羽根が、そよいでいる。 「この扇子、かわうぃねぇ~!」 目の前に突き出された扇を趙雲は、軽々と手で払いのけた。 「まぁまぁまぁ、2人とも落ち着いてください。キョチョで構いませんから……」 2人は対面で声を荒げる。俺は趙雲の隣で、手の平をヒラヒラさせて、なだめた。 ――なんだか客なのに疲れるなぁ。 「あ、あのう、それよりも、相談に乗って下さいよ」 「そうじゃった。どうしたんじゃ?」 肩からリュックを下ろし、チャックを開けた。小型の受信機を取り出し、テーブルにそっと置く。 「こ、これのことなんですけど」
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