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「キョチョ。盗聴距離はどのくらいだった? これはお試し受信機みたいな物だから、あまり遠くだと聞こえないぞ?」
――お、お試し? それこそ聞いていないし!
「えっと、一階フロア挟んでです……」
頬に伝った汗を、首に巻いたタオルの端っこで拭いた。
「ええ! そうだったの? キョチョ、このようなグッズを買う者は高性能な受信機を所持しているものじゃ。てっきり持っているものだと……」
孔明は、バサリと扇を広げ、誤魔化すかのように、自らに風を送った。
「だから親父は、ポポイなんだよ。営業力がイマイチなんだよな~ったら、みんみんみん! みんみんみん! からーのぉ!?」
「……」
孔明はムッとした表情を浮かべながらも、今度は文句を言わなかった。
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