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「おはようございます貴方スラックスの丈が少々長いようですね『腰パンです』って?いっそすべて私が下げて差し上げましょうか?風紀違反のようですねここにサインをお願いします」
「おはようございます。この前君に貰った胃薬はとても効果がありました。ありがとうございます。ですが今日も違反が見受けられますね、学年と名前の記入にご協力ください」
「ああ、違反だ。ここにサインして「桐之蔭様っ、あのこれ貰ってく」困るな、風紀への賄賂は重罪だ。放課後、風紀室へ来る「やったあ!」――は?!」
……ジーザス!
まったくもって今日は厄日だ。校門前には見目麗しい“風紀委員会”役員が威風堂々と服装検査をしている。
「藍沢様っ、待ってください!」
「クッ、離せ!君は違反者ではない」
“生徒会”と人気を二分する風紀委員会は服装検査に長蛇の列を形成していた。
真面目な模範的生徒の俺は服装検査を気にする必要はまったくない。「怯んで損した」と舌打ちしながら、マンションで顔を合わせた優也を思い浮かべる。
……アイツは完璧アウトだな、うん。
今日は休んで正解、なんてことを考えながらムダに豪華な正門を潜る。
「――黒川、待て」
……油断した。
威圧的な声に呼び止められる。素通りしかけた俺は、いきなり誰かに腕を引かれた。
……痛い痛いッ!やっぱ厄日。
同時に上がる多数の悲鳴が真剣にうるさい。ドンという衝撃と同時に背後に誰かの気配を感じてゾクっと寒気を覚える。極度のくすぐったがりな俺は恐る恐る振り返る。
俺 の 後 ろ に 立 つ な。
「無視か。いい度胸だな?……黒川」
耳元で囁かれた低い声に、さらに寒気が増した。
学園の魔王、降臨。
(風紀委員長)
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