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「天王寺です。……よろしく」
脚を組み替えながら名刺を無造作に受け取ると、俺のエセ長髪を色気たっぷりに梳き、気怠げに藍沢さんに目線を流し淡々と言い放った賢人には愛想の欠片も無い。
「風紀委員会も学園祭の出し物に参加とか大変すね」
「ああ。陸……、風紀の副委員長と交代で動いているから平気だ」
一瞬いつもの風紀魔王の表情になって安心した。〈にゃんこ喫茶〉は二年Sクラだった。風紀幹部も学祭に参加していたことを思い出した。
「けんけんも俺と同じ2SSなんだよね~」
「御陵貴様っ、……誰が“けんけん”だ」
……出たな。諸悪の根源ごりょうそん。
「俺もご一緒させていただいても?」
うやうやしく跪いた会計が、首を傾けて笑う。「どうぞ」興味なさそうに賢人が頷いた。
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