【Tip-off】

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そういえばやたらと酒臭いと今頃気づく。 「…………」 寝起き特有の視点が定まらない状態から抜け出すと、目の前には端正な“奴”の寝顔がある。 「……まじかよ」 今日も朝方まで飲んでいたのか、スーツの上着が床にだらしなく崩れ落ちている。 「ありえねえ……」 無造作にボタンが外されたYシャツは前が全開になっている。浅い呼吸を繰り返すたび、見え隠れする繊細な造りの鎖骨が浮き彫りになって……って?!はい? 「んー……」 「――!!」 いやいやいや、ちょっと待て。アナタ目のやり場に困るんですけど?!おい?!なんだその手は! 「なお……」 「はあ?」 夢でも見ているのか長い睫毛が震える。名前を呼ばれて顔を覗き込んだ。 「おい!?待っ」 「――」 「……はぁ」 寝返りを打つ奴に腰をガッチリとホールドされてる事に気づいた俺は呆れた溜め息を吐く。 「チッ、……本気でありえねえ」 この歳で不本意ながら“母親”と添い寝しちまいやがりました自分に激しく舌打ちした。  なにこれ。 ま じ サイアク。
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