3319人が本棚に入れています
本棚に追加
そういえばやたらと酒臭いと今頃気づく。
「…………」
寝起き特有の視点が定まらない状態から抜け出すと、目の前には端正な“奴”の寝顔がある。
「……まじかよ」
今日も朝方まで飲んでいたのか、スーツの上着が床にだらしなく崩れ落ちている。
「ありえねえ……」
無造作にボタンが外されたYシャツは前が全開になっている。浅い呼吸を繰り返すたび、見え隠れする繊細な造りの鎖骨が浮き彫りになって……って?!はい?
「んー……」
「――!!」
いやいやいや、ちょっと待て。アナタ目のやり場に困るんですけど?!おい?!なんだその手は!
「なお……」
「はあ?」
夢でも見ているのか長い睫毛が震える。名前を呼ばれて顔を覗き込んだ。
「おい!?待っ」
「――」
「……はぁ」
寝返りを打つ奴に腰をガッチリとホールドされてる事に気づいた俺は呆れた溜め息を吐く。
「チッ、……本気でありえねえ」
この歳で不本意ながら“母親”と添い寝しちまいやがりました自分に激しく舌打ちした。
なにこれ。 ま じ サイアク。
最初のコメントを投稿しよう!