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「ああもう!!」
思いっきり叫ぶと、巻き付く腕を軽めに叩く。
「おい!流ッ?!りゅー?ちょ、離せよ!……はぁ」
……まじなんなのこいつ。
「…………」
人の気も知らないで無邪気に寝すぎだろうと心の中で悪態をつく。
「……重ッ」
昨日、部活が終わって帰宅して風呂に入ってテレビを観た後から記憶が皆無だと気付く。
「はぁ……」
とりあえず足蹴にした俺は溜め息混じりで流の腕を強制解除した。
「はあ?」
安堵の溜め息を吐いたのも束の間。
「え……?」
ぼやけた視界の中、まばたきをする。フラットになったソファーの反対側、流を挟んで“誰か”が居る。
「んー……」
寝返りを打つと俺に背を向けた母親が、今度は“それ”を抱き寄せた。
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