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「アイツは?」
「奈央ちゃん?お母さんは、でしょ?」
クスクス笑う34歳。我が叔母ながら、童顔のせいか舌っ足らずな喋り方のせいなのか可愛い事この上ない。
「流ちゃんはね――」
二卵性双生児の俺の母親とは全てが真逆な自分の叔母を見下ろす。身長も性格もまったく違う小柄な留美さんに、愛してやまない猫の面影を重ね、癒やされた俺はふと我に返る。
「はあ?アイツのどこが」
「……奈央。いい度胸だ」
地の底を這うが如く、俺の耳を掠れた低音域が支配する。
黒川家の魔王、降臨。
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