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――え? 今なんて言った?
キッチンから覗くようにリビングを見ると、布巾を目元に当て泣いているようだ。
見てはいけない気がし、亀のように突き出した首を元に戻した。蛇口を捻り、鍋に水を入れ湯を沸かす。
良いダシを取れば、なんでも美味しくなるってもんさ。
「夫に殴られたんです。暴力が酷くって……それでも、別れない私って、本当に駄目人間よね――」
サッと鰹節の一番ダシを取り、ボールに一旦入れる。釜から少ない御飯を取り出し、出し汁に突っ込んだ。
「しかも浮気されてるんです。私……もう、どうしていいのやら――」
もうちょっと、柔らかく煮て……卵も、といておくか。
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